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屋外より簡単⁉ 完全屋内で盆栽を楽しむ

盆栽を初めてまだ数年程度の私ですが、この短い期間でもすでにいくつかの盆栽を枯らすという失敗をしました。

盆栽で使用される植物は自然の中で普通に育っているものがほとんんどなのに、人が手をかけて育てようとすると何故失敗してしまうのか。ここには初心者が犯しがちないくつかの罠が存在することに気が付きました。そしてその過ちを犯さないためには、一般的に推奨されている屋外環境で育てるより、むしろ、完全屋内で育てる方が簡単と感じる人もいるのではないか、という結論に達しました。

『感じる人もいる』という書き方をしたのは、通常の屋外育成の方が簡単と感じる人が大多数である中で、ライフスタイルや家庭環境によっては、屋内育成の方が向いているという方も一定数いるのではないかという思いからです。

ですので、この記事は屋外育成を否定するものではありません。これまでに屋外で盆栽を育てて何度も失敗してきた方や、屋外スペースがなく盆栽を諦めていた方にとって、何かヒントになるものがあればと思っています。

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盆栽を屋外で育てるメリット

一般的に盆栽は屋外で楽しむものとして紹介されていると思います。理由は複数ありますが、『光合成』と『水遣り』が最も大きな理由だと思います。

光合成

動物と違い、植物は光合成を行うことで自らエネルギーを生み出すことができます。できるというより、むしろそれがメインの活動です。例えば食虫植物でも、虫を与えず光合成だけで育てることは可能ですが、光合成をさせずに虫だけ与えて育てることは不可能です。それだけ、植物にとって光合成というのは重要なものです。

盆栽を屋外で育てる最大のメリットは、光合成に必要な『光』として、日光を最大限利用できることにあります。日光は一般的な蛍光灯やLEDでは再現できないほど強力な光であり、直射日光が当たる環境で育てた植物は、本当に綺麗に大きく育ちます(当然、直射日光が苦手な植物もあります)。

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水遣り

盆栽や観葉植物を枯らしてしまう最も多い原因は、水遣りだと思います。一般的に言われる水遣りの基本は、『土が乾いてからたっぷり』です。

この『たっぷり』というのは、鉢底から水が流れ出るくらい与えることであり、これは受け皿で受けきれる量ではありません。ですので、鉢を動かさずに十分な量の水を与えることができるという意味で、屋外に植物を置く方が格段に便利です。

盆栽を屋外で育てるデメリット

次に屋外で育てるときのデメリットを考えてみたいと思います。これまでに屋外で盆栽を枯らしたことがある方は、共感できる部分もあるのではないかと思います。

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気候、天候の影響

屋外で最も影響の大きいファクターは『気候、天候』です。特に気を付けなければならないのは、です。

確かに、冬の寒さも気を付けなければならないところですが、一般的に盆栽に使われる木々は何もしなくても冬の寒さに耐えてくれます。また、寒さが苦手な観葉植物などにおいても、軒下に入れたり、風の当たらないところに移動させるなど、簡単に対策できます。簡単というのは、移動させた鉢は暖かくなるまでそのまま置いておけばよく、毎日の管理に時間を取られないという意味です。

一方、夏は毎日の管理が大変です。盆栽は、木の大きさに対して鉢が小さいのが普通であり、そのため、真夏に日向に置いておくと、一日持たずに水が切れ、木が深刻なダメージを受けることがあります。かといって、暑い時間帯に水遣りを行うと根が蒸された状態となって枯れてしまうことがあります。日が昇る前と落ちた後の1日2回水遣りをするのが理想ですが、仕事で盆栽を育てているのならまだしも、他に仕事を持っていて趣味で盆栽をしている人にとって、毎日このような管理を欠かさず続けることは、意外と難しいものです。出張や旅行などで数日家を空けてしまうと、炎天下に置かれた鉢植えは、雨が降ったり曇り空が続かない限り、ほぼ確実に枯れてしまいます。

このように、毎日欠かさず適切な管理をしなければならないという意味で、真夏は盆栽や鉢植えにとって非常に気を遣う時期となります。

盆栽の観察

天候のところでも触れましたが、水遣りの方法は季節によって適切に変えていく必要があります。屋外の場合、季節による変化が大きい上、さらに天候も考慮しなければなりません。ここは屋内育成と比べて判断が難しくなる部分です。こういった判断は、毎日盆栽を観察していないとできませんが、昼間仕事をしていて暗くなってから帰宅する人の場合、真っ暗な中で水遣りをしなければならず、植物や土の状態をしっかり観察することが困難になります。

大したことではないように感じるかもしれませんが、観察できないということは大きな問題です。葉先が枯れ始めていたり、害虫がついていたりしても、それを暗闇で判断することはほぼ不可能です。このような異変は早期に気づけば簡単に対処することができますが、気づくのが遅れると取り返しがつかない状況になりかねません。

盆栽への興味

抽象的な内容ですが、これは最も重要なことです。趣味で盆栽を育て始めたからには、盆栽を眺める時間が楽しみであるはずです。しかし、盆栽が毎日目に入るところになかった場合、どうしても徐々にその盆栽への興味が失せてしまいます。

私の場合、仕事から帰るのが遅い時間帯になることが多いので、屋外に置いてある盆栽を見る機会は、朝の水遣りのときのみになります。それも仕事に出る前のわずかな時間のみになるため、屋外の盆栽への意識は屋内にあるものに比べどうしても低くなってしまいます。

毎日盆栽を見る時間を十分とれる生活ができる場合は、それが屋外でも屋内でも構わないと思いますが、家にいる時間が少ない人であれば、外に置いてあって目に入らないものに常に興味を持ち続けるというのは、やはり難しいものです。

屋外育成のまとめ

ここまで述べた通り、屋外での育成は盆栽自体へのメリットがとても大きいです。一方でデメリットは、育てる側の問題であり、日々の管理に時間をしっかりとれる人からすれば、大した問題ではありません。盆栽にとって屋外で育てる方が良いことは明白です。

しかし、必ずしも盆栽に毎日十分な時間を割ける人ばかりではありませんし、時間を割けないからと言って盆栽を諦めなければならないかといえば、そんなことはないと思います。

ここからは、私が実践している屋内での盆栽育成の方法を紹介します。

屋内盆栽の実践例

屋内盆栽のメリット・デメリットを説明する前に、まずは私が実践している方法を例として紹介します。

屋内盆栽

写真左側はアクアリウムやコケリウムで紹介している水槽になります。こちらは盆栽とは違うので、この記事では触れません。見たいと思って下さった方は、下記のリンクからお願いします。

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今回の主役は写真の右側、小さな鉢がたくさん置いてあるところになります。

屋内盆栽

小さいスペースにたくさん置きすぎですね。もう少し余裕を持った方が、見た目にもすっきりしていいと思います。こちら冬の写真なのでほとんど葉がなく、あまり良い参考例ではないのですが、決して枯れているわけではありません。右奥の梅はこの数日後、下の写真のようにしっかり開花しました。

梅盆栽

では、屋内で盆栽を育てるポイントをいくつか挙げていきます。

ポイント1 照明

屋内で盆栽を育てる最大のポイントは、一つ目の写真の上ギリギリに写っている『照明』です。植物が成長するために必須となる光合成を行うためには光が必要ですが、日光が届かない屋内で育てるためにはこの照明が重要な役割を担います。

照明を使わずとも窓際など光が入るところであれば、盆栽を育てることはできます。しかし、植物は光の方向に葉を広げて成長していくため、常に窓側に向かって成長します。定期的に鉢を回してやれば多少は修正できるのですが、常に背中を見ている感じになってしまいます。鑑賞目的で置いている植物が鑑賞する側を向かないというのはあまり好ましいものではないと思いますので、私としては照明の使用をお勧めしたいと思います。

ちなみに照明であれば何でも良いというわけではありません。植物が光合成に使用できる光の波長は決まっており、その波長を強く発する照明を使う必要があります。しかし、ここで問題となるのが、人間の目では、光の波長を判断できないということです。

どういうことかというと、人間には同じ色に見える光でも、実際は波長が異なる場合があるということです。例えば同じ『紫』の光でも、純粋に紫の波長を持った光の場合と、赤と青の波長の光を足して紫に見えている場合があります。(詳しくは下の記事を見てください。)

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したがって、植物が光合成できるを強く発しているかどうかは見た目の光の強さでは判断できないため、メーカーから出ているデータや実際に使ってみた経験から判断するしかありません。私もこれまで多くの照明を試してきましたが、照明によって植物の成長にかなり差が出ます。

ちなみに私が現在使用している照明はこちらになります。

照明としてはやや高価な部類に入りますが、これまで使ってきて植物がしっかり育っている実績と見た目のスタイリッシュさから、リピート購入しています。LEDなので、毎日長時間つけていても、電気代は微々たるものです。色味は真っ白ではなく、白熱灯ほどではないですが、やや暖色系です。

更に高価にはなりますが、より良いものを求める方はこちらをお勧めします。私はまだ使ったことはないですが、真っ白な光で光量も大幅アップした商品になります。

ポイント2 水遣り

二つ目のポイントは『水遣り』です。当然屋外に置いているときのように、ジョウロやホースでたっぷりというわけにはいきません。私は数日に一回、スプレーで水遣りをしていますが、適切な量を感覚的に身に着けるのに少し経験が必要です。ただ、屋外の炎天下に置いてあるわけではないので、水が切れたからといって、すぐ枯れることはありません。毎日葉を見ていれば水切れしたらすぐわかると思いますので、続けている間に適量がわかってくると思います。

可能であれば、月に数回、時間があるときに外に出してたっぷり水をあげれば、更に良いかと思います。

屋内で盆栽を育てるメリット

自分に合った時間に鑑賞、世話ができる

屋内で盆栽を育てるメリットですが、やはり昼間仕事などで家にいない人でも、毎日盆栽を鑑賞することができるということです。趣味で始めたわけですから、毎日目に入るところにあってこそだと思います。見えないところでいつの間にか育っていただと、楽しさ半減ですよね。育っていればまだしも、知らないうちに枯れてたでは目も当てられません。

害虫がつかない

これは私にとって結構大きなポイントなのですが、屋内で育てると当然ながら害虫がほぼつきません。カイガラムシやアブラムシに注意する必要もありませんし、葉が食べられることもないので、植物が綺麗に育ちます。

失敗が少ない

これは人によるとは思いますが、昼間家にいなかったり、出張などで数日留守にすることがある場合は、環境の変化が少ない屋内の方が植物を枯らすリスクが少ないと思います。

屋内で盆栽を育てるデメリット

光合成不足による成長不良

一番のデメリットは、日光が当たらないことで成長が遅くなることです。やはり外で育てたほうが、大きく元気に育ちます。ただ、盆栽は大きく育てる必要がないので、大きなデメリットにならないことも多いです。

照明の費用

日光が当たらないことを照明で補うため、ある程度費用がかかります。LEDといえど光量は徐々に下がってきますし、急に点灯しなくなることもあり、定期的に交換する必要があります。もちろん、電気代もそれほど高くはないもののかかります。

根腐れのリスクが上がる

屋内で植物が枯れる最も多い原因は『根腐れ』だと思います。毎日目に入る分、過剰に水遣りをしてしまいがちです。また、底から水が抜けない鉢だったり、受け皿に水が溜まりっぱなしになると、根腐れのリスクが高くなります。屋内であれば短時間で水切れすることはないので、焦らずに土が乾いてから水遣りをするように心掛けましょう。

 

いかがだったでしょうか。

照明さえ準備できれば、屋内で育てたほうがメリットがあると思えた方もいたのではないでしょうか。

今後も多くの方が家庭で植物を楽しむきっかけとなるような記事を書いていければと思いますので、よろしくお願いします。

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