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底面給水鉢のメリット・デメリットを検証 ~通常の鉢との比較~

近年、夏の暑さが年々厳しくなってきており、鉢で育てている花を枯らしてしまったということが増えてきているのではないでしょうか?対策さえすればそれほど手のかからない冬越しよりも、環境によっては毎日朝夕2度の水遣りしないといけないこともある夏越しの方が難しいと感じている方も相当数いると思います。

そこで今回は、最近店頭でもよく見かけるようになってきた『底面給水鉢』について、水切れ対策や水遣り回数低減という面で効果があるのか、また、デメリットはないのか、といったことを実際に花を育てながら検証していきたいと思います。

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一般に言われる底面給水鉢のメリットとデメリット

底面給水鉢について一般的に言われているメリットには主に以下のようなものがあります。

  • 水遣り頻度を減らせる
  • 水遣りのタイミングを気にしなくてよい
  • 鉢底から流れ出さないため、水・肥料が節約できる

一方で、下記のようなデメリットも指摘されています。

  • 常に水があるため、根が成長しない
  • 根腐れのリスクが上がる
  • 水を溜める部分に肥料が濃縮されて肥料焼けする
  • 土に溜まる不純物を洗い流せない

このように、メリットデメリット両方が書かれているため、結局底面給水鉢を使ってよいのか判断するのが難しいです。当然、植物の種類によっても向き不向きはあると思うので、単純に結論を出すことは出来ないと思いますが、とりあえず、よくある一般的な草花で比較をしてみることにしました。

底面給水鉢 vs 通常の鉢 検証

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検証方法

検証条件

検証の方法としては、同サイズの底面給水鉢と通常の鉢を用意し、同じ日に同じショップで購入した同じ種類の花苗を同じ土、肥料で植え、成長過程を比較します。鉢は三つ用意し、一つは通常の鉢で通常の水遣り、一つは底面給水鉢で通常の水遣り、一つは底面給水鉢で鉢底の給水部分に水を補充、とします。また、水遣りと追肥は下記のようにします。

1.植え付け後1カ月は、水遣りと追肥の量・タイミングを同じにし、成長の比較を行う。

2.植え付け後1カ月経過してからは、植物の様子を見ながら水切れの症状が出たタイミングで水遣りを行い、水遣り頻度の比較を行う。ただし、追肥の量とタイミングは同じとする。

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植える植物

サントリーフラワーズさんの『サフィニア』大輪系

鉢のサイズ

直径27cmの9号ポット(鉢底に水を溜める部分がある分、底面給水鉢の方が土が入る量は少ない)

底面給水鉢はDCMの『エレガントプランター』を使用していますが、おそらく下記と同じ仕様だと思います。底面給水鉢は外径30cmありますが、縁が厚いため内径は27cmほどです。

検証結果

ここからは写真とともに検証結果を見ていきます。

3/17 植え付け

  • サフィニア赤:通常の鉢   上から水遣り
  • サフィニア黄:底面給水鉢  上から水遣り
  • サフィニア紫:底面給水鉢  鉢底給水口に給水

※植え付け当日は、植え付け時に葉に付いた土を洗い流すため、全ての鉢に上から水遣り

土は『花ちゃん培養土』に赤玉土を2~3割混ぜたもの、元肥適量と、殺虫剤として『オルトラン』を入れています。

3/20 追肥(微粉ハイポネックス500倍500mL)

植え付け3日後

左側二つの鉢には上から根元に、右の鉢には下写真の給水口より、微粉ハイポネックス1gを500mLの水に溶かして与えました。まだ鉢底近くまで根が伸びていないと思うので水を吸収できるか心配ですが、とりあえず問題が発生するまでは下からの給水で進めていきます。

底面給水鉢の給水口

3/24 追肥(微粉ハイポネックス500倍500mL)

3/20同様、500倍500mLの微粉ハイポネックスを追肥しました。植え付け直後に肥料を与えすぎかもしれませんが、根張りを促進するためにカリウムや微量元素が豊富に含まれている微粉ハイポネックスを与えています。

3/27 水遣り500mL

3/30 追肥(花工場500倍500mL)

植え付けから2週間が経過、ここで予想通り水遣り方法による差が見えてきました。

下の写真を見てもらうと分かる通り、株のサイズには大きな差は出てきておりませんが、底面から給水している一番右の鉢は土が完全に乾いてしまっています。

植え付け2週間後

拡大してみると、葉がしなしなになり、一部枯れてきています。明らかに水切れです。

底面給水鉢水切れ

予想していた通り、まだ根が鉢底近くまで育っておらず、底面付近の水を吸えていない様子。このままでは底面給水のメリット・デメリットを検証する前に枯れてしますので、今回に限り右側の鉢も根元から水を遣ることにしました。いきなり9号鉢くらいのサイズに植えているので、根がある程度伸びるまでの間は、根元から水遣りした方がよさそうです。今回は、液肥(花工場)を500倍で500mL与えました。

4/2 水遣り500mL

天気によって土の乾きが違うので、様子を見ながら必要に応じて水遣りをしています。植え付けからここまで、水と肥料の量は全ての鉢で同じにしています。右側の鉢は水切れから復活したため、底面からの給水に戻しています。

4/6 追肥(花工場500倍500mL)

植え付けから3週間が経過しました。一時期水切れしていた右側(底面給水)の鉢も完全に復活しています。三つの鉢で株のサイズにあまり差はありませんが、葉の大きさが右の鉢は大きく中央の鉢は小さいように見えます。ただ、これは鉢の違いではなく株の個体差かもしれません。
※同じ種類の花でも色によって成長に差が出ることがあります。

植え付け3週間後

4/13 水遣り500mL

植え付けから4週間が経過。雨が多く、土がなかなか乾かなかったので、1週間ぶりの水遣りになりました。

根元から水遣りしている左と中央の鉢は花が咲きました。右側の鉢もつぼみはついているので、近々咲くと思います。

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