芝生には多くの種類があり、見た目・耐久性・管理のしやすさなど、求める条件によって最適な芝は変わります。ここでは、日本で利用される芝生を体系的に整理し、それぞれの特徴をわかりやすく紹介します。
芝生の基本分類:暖地型(夏芝)と寒地型(冬芝)
芝生は大きく 「暖地型(夏芝)」 と 「寒地型(冬芝)」 に分かれます。 暖地型は高温に強く、日本の多くの地域で利用される一般的な芝です。寒地型は冷涼地でよく育ち、夏でも緑を保ちますが、高温に弱いという特徴があります。
暖地型(夏芝)の種類
高麗芝(コウライシバ)
日本で最も普及している標準的な芝で、家庭の庭から公園まで幅広く使われています。葉が細く密度が高いため、見た目が美しく、管理もしやすいバランスの良い芝です。
特徴
- 葉が細く密度が高い
- 見た目が美しい
- 成長はゆっくり
- 踏圧にそこそこ強い
- 冬は休眠して茶色くなる
姫高麗芝(ヒメコウライシバ)
高麗芝よりさらに葉が細かく、繊細で美しい質感を持つ高級芝です。柔らかい踏み心地と高密度が魅力で、見た目を重視する家庭に向いています。
特徴
- 高麗芝より細葉・高密度
- 柔らかい質感で踏み心地が良い
- 美観が非常に高い
- 踏圧に弱く修復が遅い
- 管理はやや繊細
TM9(ティーエムナイン)
TM9は高麗芝を改良した省管理型の品種で、成長がゆっくりなため刈り込み回数が少なく、密度が高く美しい芝面を作れるのが特徴です。家庭芝として非常に扱いやすく、近年人気が高まっています。
特徴
- 高麗芝より成長が遅く、刈り込み回数が少ない
- 密度が高く、芝面が均一で美しい
- 踏圧には高麗芝と同程度
- 修復は高麗芝より遅い
- 管理が楽で家庭向け
- 暖地型(夏芝)で冬は休眠する
野芝(ノシバ)
日本に自生する芝で、とにかく丈夫なことが最大の魅力です。乾燥や踏圧に強く、土質も選ばないため、管理の手間を減らしたい家庭に向いています。
特徴
- 葉幅が広くやや粗い見た目
- 乾燥や踏圧に非常に強い
- 土質を選ばない
- 管理が簡単
- 法面や広場にも使われる
ティフトン芝(バミューダグラス)
スポーツターフとして知られ、競技場でも多く使われる芝です。成長が早く横に広がる力が強いため、踏圧に非常に強く、傷んでもすぐに修復します。
特徴
- 成長が早く横に広がる
- 耐暑性・耐乾性が高い
- 踏圧に非常に強い
- 修復が早い
- 刈り込み頻度が多い
- 日陰は苦手
センチピードグラス(ムカデシバ)
センチピードグラスは、英語名 “Centipedegrass” のとおり、和名で「ムカデシバ」と呼ばれる芝です。省管理で人気があり、家庭芝として使いやすい種類です。
特徴
- 草丈が低く刈り込みが少ない
- 雑草抑制力が高い
- 土質を選ばない(pH4〜9)
- 乾燥に強い
- 寒さに弱い
- 見た目はやや野性的
寒地型(冬芝)の種類
ケンタッキーブルーグラス
冷涼地でよく育ち、年中緑色を保つ美しい芝です。
特徴
- 年中緑色を保つ
- 葉が細く密度が高い
- 冷涼地向け
- 夏の高温に弱い
ペレニアルライグラス
発芽が早く、短期間で芝生を作れる芝です。
特徴
- 発芽が非常に早い
- 密度が高く美しい
- 夏の高温に弱い
- 多年維持が難しい
トールフェスク
寒地型の中では比較的耐暑性が高く、法面緑化などにも使われます。
特徴
- 寒地型の中では耐暑性が高い
- 葉幅が広くやや粗い
- 土質を選ばない
- 法面にも使われる
クリーピングベントグラス
ゴルフ場のグリーン専用といえるほど繊細で高密度な芝です。
特徴
- 極めて細かい葉
- 超低刈りが可能
- 密度が非常に高い
- 管理難易度が極めて高い
混合芝(ミックス芝)
複数の寒地型芝を組み合わせた芝で、年中緑色を保ちやすく、発芽も早いという特徴があります。
特徴
- 年中緑色を保ちやすい
- 発芽が早い
- 耐暑性・耐寒性のバランスが良い
- 暖地では夏越しが課題
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芝選びの正しい順序
芝生を選ぶ際は、まず 「暖地型か寒地型か」 を選ぶことが最も重要です。芝は種類によって耐えられる気温が大きく異なるため、この選択を誤ると、どれほど丁寧に管理しても夏や冬の気候で弱ってしまいます。
冷涼地向けのベントグラスを暖地で育てると、夏の高温で枯れやすく、維持が極めて困難になるのは典型的な例です。
用途別の最適芝
暖地型(夏芝)の用途別おすすめ
暖地型は日本の多くの地域で使われる一般的な芝。 高温に強く、日当たりの良い庭向け。
| 用途 | 最適な芝 | 理由 |
|---|---|---|
| 見た目を最重視 | 姫高麗芝 | 家庭芝で最も細葉・高密度で美しい |
| 見た目と管理のバランス | TM9(高麗芝改良品種) | 高麗芝より密度が高く、刈り込みが少なくて済む |
| 標準的な美観+扱いやすさ | 高麗芝 | 家庭芝としてバランスが良い |
| スポーツターフの美観+耐久性 | ティフトン芝 | 踏圧に非常に強く、修復が早い |
| 管理を楽にしたい | センチピードグラス(ムカデシバ) | 刈り込み少・雑草抑制・土質を選ばない |
| 子どもが走る庭 | ティフトン芝 | 踏圧に強く、傷んでもすぐ回復 |
| 法面・荒地 | 野芝 | とにかく丈夫で、土質を選ばず根張りが強い |
寒地型(冬芝)の用途別おすすめ
寒地型は冷涼地向け。 夏の高温に弱いため、暖地では維持が難しい。
| 用途 | 最適な芝 | 理由 |
|---|---|---|
| 年中緑色を保ちたい(冷涼地) | ケンタッキーブルーグラス | 細葉・高密度で美しい。冷涼地で安定。 |
| 短期間で芝生を作りたい | ペレニアルライグラス | 発芽が非常に早く、すぐ緑になる。 |
| 法面・荒地(冷涼地) | トールフェスク | 寒地型の中では耐暑性が高く、丈夫。 |
| ゴルフ場グリーンのような芝面 | ベントグラス | 超高密度・超低刈りが可能。ただし管理難易度は極めて高い。 |
番外編
天然芝は維持管理に思った以上の時間と労力がかかります。芝生の維持管理に自信がない、時間をかけたくないという方は人工芝という選択肢もあります。
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