先日、庭の一角にひょうたん型のプラ池を埋め込んだことを紹介しました。
池のある庭って憧れますよね。今回は、ひょうたん型のプラ池をDIYで庭に埋め込みましたので、その模様を紹介したいと思います。池のある庭「庭に池がある」と聞いたら、どれくらいの大きさの池を想像しますか?[…]
その後水を張り、魚を入れようと考えたわけですが、魚を入れることは一旦思い留まりました。そう、水槽で魚を飼う際に必須とされる器具、『ろ過装置』がないのです。
以前から庭にあるプラ舟で作ったビオトープにはろ過装置がついていませんが、大きな魚を入れているわけではなく、小さな金魚とメダカが泳いでいるくらいなので、たくさん入っている植物によって十分ろ過機能が働いていると思います。
一方でこちらの池には、20cmくらいの鯉を数匹入れる予定です。このサイズの魚を飼育するには、それなりのろ過能力が必要になってきます。
しかし、池のろ過槽というのはあまり販売されておらず、売っていたとしてもかなり高額なものが多いです。そこで今回は、主にホームセンターで売っているものを使って、ろ過装置を自作することにしました。
自作ろ過装置の仕様
さて、まず最初にろ過装置の仕様を考えます。
プラ池の容量は正確には分かりませんが、おそらく150Lくらいだとおもいます。仮に150Lだとすると、90cm水槽くらいなので、90cmの上部フィルターの仕様を参考にしてみました。
GEXの上部式フィルター『グランデ900』の仕様をみると、容量が7.3L、流量が約1,000L/時です。外部フィルター『メガパワー9012』では、容量7Lの流量560L/時です。
ちなみにろ過フィルターのろ過能力はろ材の表面積(≒ろ過槽の容量)に依存しますが、水の流量にはあまり影響されません。流量が少なすぎる場合は当然問題になりますが、一定以上の水量が確保されていれば、水量を増やしてもろ過能力は上がりません。これは、バクテリアの処理能力以上の水を流しても、処理しきれずにそのまま排出されるためです。
以上のことから、この池のろ過槽は、容量は10L以上を確保し、500L/時程度のポンプで水を循環させることとしました。
ろ過槽の選定
まずろ過槽選びですが、価格、加工のし易さなどから、プラスチック製のケースが良いと思います。透明なものだと光が入りコケが発生するので、遮光性があるものがお勧めです。私はこちらのケースにしました。
池の横に置いてみたところ、角のスペースにちょうど収まる大きさでした。
給排水口の加工
次に、池とろ過槽を2本の配管(給水と排水)でつなぎます。この池には最初から下の写真のようなパイプがついていました。これを利用して給水パイプをつなぐことにします。
なぜかT字になっているので、とりあえず横の穴を塞ぎます。これで下の口から水を吸うことができます。
続いて、ろ過槽に二つ穴をあけ、給排水のパイプを通し、水漏れしないように接着剤で穴を塞ぎます。普通の接着剤だと剥がれてしまうと思うので、ポリエチレンやポリプロピレンでも使える接着剤を使用しましょう。
給排水パイプを接続した写真がこちらです。
給水側は池についていたパイプがろ過槽に対して斜めだったことと、ポンプに接続しないといけないことから、ホースの部分で穴を通して接着しています。
また排水側の塩ビパイプを通した穴ですが、上の写真ではエルボの太さの穴をあけて通していますが、これは失敗です。ストレート部分と同じ径の細い穴をあけて短いパイプを通し、それを少し太いエルボや継ぎ手で挟むように接続すると、水漏れしにくい加工ができると思います。上の写真のろ過層内の配管がコの字になっていると思いますが、このエルボ2つの間に、ろ過層の壁を挟むように加工すれば良かったと後から思いました。
水中ポンプとろ材
水中ポンプとろ材を購入しました。ろ材はエーハイムの『サブストラットプロ』、ポンプはエーハイムの『コンパクトオン』にしました。
サブストラットは5Lのバケツを購入。
ポンプは500L/時前後で流量調整できるものをチョイス。こちらの製品は、50Hzと60Hzに分かれています。
アクアリウム用品を購入する際は、チャームさんを利用することが多いです。今回もチャームさんで購入しました。対応も良く、梱包も丁寧で安心です。
サブストラットのバケツを開けると、1Lの袋が5つ入っています。
ろ材を出した後の空箱は、アクア用品などを入れる箱としても活躍します。
ポンプは先ほど紹介した給水パイプ(ホース)に接続します。接続と言ってもポンプの給水口の径とホースはきれいにはつながりません。ポンプの給水口は内径が17mmくらいあり、12/16mmのホースがスカスカで入ります。当然16/20mmのホースもつながりません。12/16mmのホースをテープなどで固定するのがベストだと思いますが、差し込んだだけでもある程度吸い込んでくれます。
ちなみに上の写真の排水側、コの字の配管を外しました。コの字にしていた理由は、サイフォンを利用したウェット&ドライろ過を狙ったためです。ろ過槽の上(コの字の一番上)まで水がたまると排水が始まり、パイプの下端まで水位が下がると排水が止まって再度ろ過槽に水がたまり始めるというものです。
ウェット&ドライのメリットは、
- ろ過槽で部分的に水が滞留することが無く全てのろ材に水が回る
- バクテリアへの酸素供給が出来る
という2点で、完全ウェットの数倍のろ過能力を発揮すると言われています。
デメリットは、排水が間欠になる(出たり止まったりする)ため、池の水位が上下することです。
今回の件に関しては、池の容量に対してろ過槽が小さいため池の水位はあまり変化しないだろうと思い、ウェット&ドライを採用する予定だったのですが、ろ過槽と池に排水する部分の高低差がほとんどないため、排水量が思ったほど上がらず、うまく動作しませんでした。ろ過層をもっと高い位置に置けば機能したと思うのですが、今回は諦めました。
試運転
全ての配管・器具の接続が完了したので、ポンプの電源を入れ試運転しました。ろ材は取り出しやすいように、洗濯ネットに入れています。
下の写真で、排水パイプから水が出ているのが分かりますか?
ろ材にちゃんと水が回っているのかという疑問はありますが、とりあえず正常に動作することは確認できました。
しかし、ここで問題発生。
5Lのろ材を給水ホースの上に直置きしたので、配管に力が加わってしまい、パイプを通している穴から水漏れが発生してしまいました。
ろ材を配管に直置きするのは良くなさそうです。
ろ材を置く足場を設置
とりあえず水漏れ部分は補修しましたが、同様なことが今後起きないように対策が必要です。
そこで、ろ材をホースの上に置かないように足場を作りました。
まず短い塩ビパイプを4つ置きます。
その上に適当に穴が開いた板を乗せます。
その上にろ材を置きます。
これでろ材の重量が配管やポンプに直接かかることはありません。
実際の稼働時は、ろ材をもっと平たく伸ばし、できるだけろ材の間を水が通るように努めています。
給水側の追加工
池の水を吸い込む部分の紹介を忘れていましたが、こちらも少し加工しています。少しパイプを伸ばし、先にフートバルブを取り付けました。
フートバルブとは、水中ポンプが止まった時に、ろ過槽の水が池に逆流しないようにするための逆止弁です。「逆流して何か問題でも?」と思うかもしれませんが、実は問題があります。
今回使っているポンプは水中用であり、ポンプが水に浸かってないと水を吸い上げることが出来ません。停電などで一時的にポンプが停止した際に、ろ過槽の水が逆流して全て池に戻ってしまうとポンプが空気中に露出してしまい、電源が復旧したときに空運転の状態になってしまいます。これを避けるために逆止弁をつけています。また、大きい異物を吸ってしまうとポンプが破損するので、それを防ぐこともできます。
いざ、稼働
水漏れ補修部もしっかり硬化したので、ポンプの電源を入れて稼働開始しました。しかし、なぜかポンプが水を吸い上げてくれません。色々調べていると、上記のフートバルブを外すとうまく動作することが分かりました。
どうやら、このポンプの水量では、逆止弁の負荷に負けて、弁が閉じたままになってしまうようです。仕方ないので逆止弁の機構を殺して、単なるストレーナーとして使うことにしました。
完成形の写真がこちらです。
写真では分からないと思いますが、左側の塩ビパイプからドバドバと水が出ています。ポンプの音はほとんど聞こえません。
複数個所で接着剤やコーキング材を使っているので、そこからの溶出成分のことを考え、稼働後しばらくたってから何度か水換えをした後、魚を投入する予定です。
池の横に五葉松の盆栽を配置
池が出来たので、池の横に五葉松の盆栽を配置しました。
もともと模様木だったのですが、半懸崖にしようと思い、昨年横向きに植えなおしました。ですので、昨年からある古い葉(黄緑)はまだ横向きに出ています。
この松がもう少し成長して、池の上にかかるようになればいいなと思っています。