もみじの剪定は、木が休眠している冬に行うのが基本です。落葉期で枝の状態が見やすく、多少太い枝を切っても木への負担が少ないため、樹形を整える大きな作業に向いています。 一方で、春から秋の成長期に太い枝を切るとダメージが大きくなるため、避けたい時期でもあります。
ただ、状態の良いもみじは春に一気に葉を広げ、枝が重なって風通しが悪くなったり、徒長枝が樹形を乱したりすることがあります。 そのため、春は「大きく切る時期」ではなく、葉の密度を整え、樹形を乱す枝を軽く整えるための剪定が必要になります。
この記事では、もみじの園芸品種の記事で紹介した 『流泉』 と 『笠置山』 を例に、春の剪定の様子を見ていただこうと思います。
紅葉が美しいことで知られるもみじですが、春に新芽が芽吹く季節も、秋に負けないほどの鮮やかさがあります。 柔らかな黄緑、ほのかに赤みを帯びた若葉、光を透かす繊細な葉色──その表情は品種によって驚くほど違います。もみじに[…]
『流泉』の剪定
剪定前
剪定前の写真です。

パッと見たときに後ろの風景が見えない状態というのは、葉が混み過ぎていると判断してよいです。内側の葉まで光が当たらず、風通しも悪くなります。
上から見るとこのような感じです。

このように、内側の葉に日光が当たらず風通しの悪い状態だと、害虫や病気の原因になってしまうため、葉をすかしてやる必要があります。
もみじの枝は、下の写真のように1本の枝の両側に葉を出しつつ、まっすぐ伸びていきます。

先がY字になるように枝を切ることで、これ以上枝が伸びるのを止めることができます。
これにより樹形を整えながら、脇芽の成長を促すことができます。

一方で、この方法だけで剪定すると、長い枝を短くすることはできますが、短い枝が多く残り更に脇芽も出てくるため、逆に葉が混んできます。
そこで必要になるのが透かし剪定(間引き剪定)です。

もみじに限らず、透かし剪定をしないと、樹形が乱れ、風通しが悪くなり、病害虫リスクが上がってしまうので、必ず行いましょう。
剪定後
剪定後の写真がこちらです。

後ろの壁が見えるようになり、枝の流れもよく分かるようになりました。
『笠置山』の剪定
剪定前
続いて紹介するのは、こちらのもみじになります。

一見、それほど切るところがないように見えますが、よく見ると葉が重なっていたり、徒長枝が飛び出したりしている部分があるので、そのあたりを整えていきます。
剪定の方法は先に紹介した方法と同じなので省略。
剪定後

少しさっぱりさせすぎたようにも見えますが、このあとまだ新しい葉が出てくるので問題ありません。
まとめ
落葉樹であるもみじの剪定は冬が基本ですが、春の成長が始まると枝葉が一気に増え、風通しが悪くなったり、樹形が乱れたりすることがあります。 そのため、春は太い枝を切る時期ではなく、葉の密度を整え、徒長枝や重なり枝を軽く整える「調整の剪定」が大切になります。
今回紹介した『流泉』や『笠置山』のように、園芸品種は枝の伸び方や葉のつき方に個性があり、放置すると内側が暗くなりやすい傾向があります。 剪定前に比べて、透かし剪定を行うことで後ろの景色が見えるようになり、枝の流れもはっきりして、木全体が軽やかな印象になります。
春の剪定はあくまで“整えるための作業”なので、深追いする必要はありません。 混んでいる部分を少し間引く、飛び出した枝を軽く抑える──その程度でも、もみじは十分に健やかに育ちます。
冬の本剪定と春の調整剪定を組み合わせることで、季節ごとの美しい葉色や樹形をより楽しめるようになります。
