今回はボトルアクアリウムや20cm以下の超小型水槽などにシートヒーターを使用した際に、適温を維持できるか検証した結果を報告します。
近年、様々な形状のボトルアクアリウムや、一辺が10~20cm程度の超小型水槽が数多く販売されておりますが、それらの多くは水量が5L以下であり、一般的な水槽用ヒーターでは容量が大きすぎて水温が上がり過ぎたり、単純にヒーターが大きすぎて入らない、水槽に対して大きすぎて目立つなど、様々な問題があります。しかし、ヒーターなしでは冬場飼育できる生体が限られるだけではなく、水草の成長も止まってコケが大量発生したり、コケ取り生体の活動が鈍くなるために綺麗な水草水槽を維持できないという状況に陥ります。そのため、部屋の温度を一日中一定に保っているといった環境でない限り、冬場のヒーターは必須と言っても過言ではないアイテムとなります。
そこで今回は、水槽の中に入れるタイプではなく、水槽の下に敷くタイプのヒーターでどれくらい水温をキープできるか、検証してみたいと思います。
※今回検証結果はあくまで個人で使用した一例に過ぎず、使用環境や製品品質のばらつきなどによって異なる結果が出る可能性もあるので、ご了承ください。
検証する水槽とヒーターの組み合わせ
今回の検証は、下記の2パターンで実施しています。
GEX グラスアクアリウム スフィア × みどり商会 ピタリ適温プラス(丸大)
GEX グラステリアフィット200LOW × 水作 アクアパネルヒーター12W
EX グラスアクアリウム スフィア × みどり商会 ピタリ適温プラス(丸大)の検証結果
検証する水槽の紹介
今回、検証で使用するボトルアクアリウムはこちらです。
以前はほとんどコケもなく奇麗だったのですが、水温が下がるにつれ水草の成長が止まり、エビやオトシンクルスの活動も悪くなったことによって、コケが大量発生してしまいました。このようなことにならないためにも、ヒーターは必要だと思います。
この水槽の立ち上げおよびその後の様子については、下記の記事でご覧いただけます。
以前は水槽といえば60cmサイズが標準、45cmでも小型に分類されるのが通常でしたが、30cmキューブが人気となってからどんどん小型化が進み、今では10cmキューブまで販売されるほど、市場は様変わりしました。一般的に水槽が小さくなるほど水質[…]
水槽とヒーターのサイズ感
グラスアクアリウム スフィアとピタリ適温プラス(丸大)のサイズ感ですが、下の写真の通り底部とヒーター部がピッタリ一致します。遠目に見ると、ヒーターを敷いていることが分からないくらいで、インテリア性を全く損ねません。
このヒーターはコードの部分が少し浮くのですが、そこを避けて置いてちょうどという感じです。
ヒーター電源OFF時の水温
早速、水温の測定に移ります。まず、ヒーターOFF時の水温ですが、下写真の通り10℃でした。寒い地方ではないのですが、玄関に設置していることもあり、かなり低いです。
ヒーター電源ON時の水温
続いてヒーターをONにしてしばらく(1日以上)経過したあとの水温がこちら。
13.5℃。期待していた水温には程遠い結果です。この水槽は底面フィルターを使っているため、底床が温められれば水槽全体が温かくなるはずですが、パワー不足のためか3℃程度しか上昇しませんでした。このヒーターはペラペラで薄いため床側に温度が逃げているのかと思い、下に発泡スチロールを敷いてみましたが、結果は変わらずでした。
全く効果がなかったわけではない
さて、今回の組み合わせでは期待した温度まで上昇しなかったわけですが、全く効果がなかったわけではありません。ヒーターを設置した後、徐々にですが水草から新芽が出始め、成長を再開したのです。
植物の成長には適当な温度が必要ですが、実は葉の部分より根の部分を保温する方が効果があります。通常の水草水槽でも、金属製の棚などに設置している場合など底部から熱が逃げている場合があり、ヒーターによって水温は適温を保てていても、実は底床の温度は下がっていて水草の成長が阻害されるということがしばしば発生します。園芸においても、冬場は藁を敷くなど地温が下がらないような対策を行います。こうすることにより地上部は枯れたとしても根は生きており、春に再び芽を出すのです。
今回の検証でも十分な水温は確保できませんでしたが、何もしていないのに比べるとそれなりの効果は出るのではないかと思っています。
GEX グラステリアフィット200LOW × 水作 アクアパネルヒーター12Wの検証結果
続いてもう一つの組み合わせの検証結果です。
水槽とヒーターのサイズ感
まずは水槽とヒーターのサイズ的なフィット感ですが、アクアパネルヒーターのヒーター部分(下写真の黒い部分)がほぼ20cmなので、保温効率という意味ではバッチリの組み合わせだと思います。ヒーター外側の白いスポンジ部分が水槽からはみ出してしまうため、インテリア性では若干マイナスとなるかもしれませんが、水槽の方が大きいと安定性に不安が出てくるので、これはある程度仕方のない部分かと思います。
ちなみに、このシートヒーターはやや厚みのあるスポンジと一体となっているため保温性があり、床側へ温度が逃げる心配もありません。スポンジは硬めであるため水槽の重さで変形することもなく、安定して設置できます。
ソイルと石で簡易レイアウト制作
検証するにあたって、何もレイアウトしていないベアタンクだと熱の伝わり方がダイレクトになるため実際の飼育環境との比較が難しいと思い、簡易のレイアウトを制作しました。この状態で、ヒーターの電源を入れる前後の水温を比較してみたいと思います。
ヒーター電源OFF時の水温
ヒーターの電源を入れる前の水温は、先のボトルアクアリウムと同様10℃でした。
ヒーター電源ON時の水温
続いて、ヒーターON時の水温です。
およそ25℃と最適な温度まで上昇していました。ちなみにこのヒーターは、弱、中、強と温度設定できるのですが、今回は弱で使用しています。
あまりにバッチリな温度だったので何度か時間を変えて確認したのですが、だいたい25~26℃をキープできていました。そこで、パイロットフィッシュという訳ではないですが、ミナミヌマエビを3匹入れてそのまま飼育を開始してみましたが、これまで1か月半、問題なく飼育ができております。
説明書を見ると、弱で25℃、中で37℃、強で60℃となるようで、まさに設計通りの結果となりました(中と強は爬虫類など用の設定だと思います)。
まとめ
今回、2つの組み合わせでシートヒーターの検証を行いましたが、使い方によっては水温をうまくコントロールできるのではないかという感じがしました。もちろん水槽の形状や容量、ヒーターの容量によって使い方を工夫する必要はあるかと思いますが、どうしても水槽の中にヒーターを入れることができない場合には、選択肢の一つとしてシートヒーターを検討してみても良いのではないかと思います。