水槽管理で最も多いトラブルの原因は、実は「餌の与えすぎ」です。熱帯魚は人間や犬・猫とはまったく異なる代謝を持ち、必要な餌の量も驚くほど少なくて済みます。にもかかわらず、多くの初心者が“愛情のつもりで”餌を多く与え、結果として水質悪化や病気、最悪の場合は全滅につながってしまいます。
この記事では、熱帯魚に与える餌の適正量を、魚のサイズ別・環境別にわかりやすく解説します。
熱帯魚の餌は「思っているより少なくていい」
魚は変温動物。必要なエネルギー量が根本的に違う
魚が生きてくためにはどれくらいの食事量が必要だと思いますか? 人間や犬、猫などと同じように考えていると、それは与えすぎです。
哺乳類は恒温動物なので、気温が変化しても自身の体温を保てるようになっています。そして、食事で得たエネルギーの大半は、この体温維持のために消費されています。一方で魚は変温動物です。したがって、体温維持のためにエネルギーを消費することはなく、少ないエネルギーで活動できます。その代わり、水温が下がると活動が低下しますし、熱帯魚だと低温に耐えられずに死んでしまうこともあります。
以上の理由から。同じ体重の哺乳類と比べると魚類に必要な食事量は圧倒的に少なく、少量の餌でも十分に生きていけるのが特徴です。また、水槽内では天敵もおらず、広い範囲を泳ぎ回る必要もありません。つまり、自然界よりもさらにエネルギー消費が少ないため、餌の量は“控えめ”が基本になります。
魚のサイズ別|適正な餌の目安
小型魚(ネオンテトラなど)
小型魚の場合、1日1回・30秒で食べ切れる量が基本です。水草水槽のように微生物が豊富な環境では、週2〜3回でも問題なく健康に育ちます。実際に私の水槽では、週2〜3回・20〜30秒で食べ切る量しか与えていませんが、カージナルテトラは3年以上元気に泳いでいます。3年前に買った50gのフレークがまだ半分残ってるくらいですので、本当に少量しか与えてないことが分かると思います。
餌の容器には、『1日数回、2~3分で食べきれる量』と書いてありますが、これは与えすぎです。2~3分あれば、一部の餌は水槽の底まで落ちてしまうと思います。 底に落ちた餌は、ソイルや砂利の隙間に入ってしまい、水を汚す原因になります。ベアタンクでの飼育や、コリドラスのような落ちた餌しか食べない種類でない限り、1度に与える量は、餌が底に落ちるまでに食べきれる量に留めておいた方が良いです。
一方で、水草などが少ない水槽では、1日1回は与えておいた方が良いでしょう。また、コンテスト(グッピーなど)や繁殖目的で飼育している場合は、1日数回餌を与えた方が、良い結果が出るかもしれません。
中型〜大型魚(アロワナ・ポリプテルスなど)
サイズが大きくなるほど、給餌頻度はさらに少なくてOKです。30cmを超える魚であれば、数日に1回、場合によっては週1回でも問題ありません。
ただし「大きく育てたい」「繁殖を狙う」など目的がある場合は、給餌頻度を増やすことで成長速度を上げられます。
餌を与えすぎると起こるトラブル
水質悪化が最大のリスク
餌の与えすぎは、食べ残しや排泄物の増加を招き、アンモニア → 亜硝酸 → 硝酸塩の蓄積を加速させます。
実体験:餌の与えすぎで全滅した話
私自身、長年のアクアリウム歴の中で2度、全滅を経験しています。そのうち1回は、家族に管理を任せた際、善意で餌を多く与えすぎたことが原因でした。魚を飼ったことがない人は、「魚がどれくらい食べるのか」「食べ残しが水質にどう影響するのか」を理解していないため、こうした事故が起こりやすいのです。
よく聞く失敗例
その他によく聞く話として、『旅行などで長期間留守にする際、出発前に餌を多めに与えておいたら、帰宅したときには全滅していた』というものです。しばらく餌を与えられないので、多めにあげておきたいという気持ちは分かりますが、これは逆効果です。
与えすぎによる食べ残しや増加した排泄物によって水質が悪化したことが原因です。健康な魚は、2週間くらい絶食しても、死ぬようなことはほとんどありません。餓死よりも怖いのは水質悪化です。
長期間留守にする場合も、餌を多く与えることはやめましょう。
餌の量を最適化するためのポイント
食べ切る時間で判断する
- 小型魚:30秒以内
- 中型〜大型魚:1分以内
これを超える量は与えすぎのサインです。
魚の体型を毎日観察する
痩せていれば少し増やし、太っていれば減らす。「魚の見た目」こそ最も正確な指標です。
まとめ|餌を減らすことが水槽管理を劇的にラクにする
餌は水質悪化の最大要因であり、適正量を守るだけで水槽管理は驚くほど安定します。もし今「コケが多い」「水がすぐ汚れる」と感じているなら、まずは餌の量を見直してみてください。