“除草剤は苔に効かない”は本当か?スギゴケに散布したら影響が出た実証結果と考察

苔庭を管理していてどうしても避けられない雑草の悩み。雑草は苔より成長が圧倒的に早く、放っておくとすぐに苔庭は雑草だらけの荒れ地になってしまいます。

苔は成長がゆっくりで、根も浅く、地表に薄く張り付くように広がるため、何も考えずに雑草をポンポン手で抜いていると苔ごと剥がれてしまうこともしばしば。 特にスギゴケのような繊細な苔は、一度剥がれると再び密に育つまでに長い年月がかかり、庭の景観が大きく崩れてしまいます。

そのため、苔庭オーナーの多くが「苔を守りながら雑草を簡単に処理する方法」を探し続けています。 そんな中で、今回苔庭で試したいと思っているのが、グリホサート系除草剤(ラウンドアップ・サンフーロン等)で雑草のみを枯らす試みです。

一般的に除草剤は苔に効かないと言われており、ゼニゴケなどを処理したい場合は苔専用の除草剤の使用が推奨されています。
しかし苔庭オーナーからすると、除草剤が苔に効かないというのはむしろ好都合。もし本当に苔に影響がないのであれば、 苔を守りながら雑草だけを処理できる」という大きなメリットになります。

そこで今回、私の庭で育成中のスギゴケにグリホサート系除草剤を直接散布し、実際にどうなるのかを検証しました。
散布後の変化を写真で記録し、有効性について考察しますので、ぜひ参考にしてください。

 

スポンサーリンク

苔庭で草むしりが難しい理由

通常の庭と違い、苔庭での草むしりが難しい理由として下記が挙げられます。

  • 雑草を抜くと周辺の苔まで剥がれてしまう
  • 地表に苔があるため、ねじり鎌など雑草を根元で刈り取る道具が使えない
  • 苔を踏みたくないので雑草の近くまで踏み入ることができず、無理な体勢での作業になる
  • 苔にダメージを与えてしまうと、成長の遅い苔は回復に時間がかかる

そもそも草むしりというのは、普通の庭でも大変と感じるもの。そこにこれだけの悪条件が重なれば、心が折れても無理はありません。そのため、より簡単に雑草を処理する方法が必要です。そこで考えられたのが今回の方法ということです。

 

一般的な除草剤は苔に効かないと言われているが本当か

今回、「苔庭で除草剤を使っても、苔は枯れないのではないか?」という発想に至った理由は以下の二つ。

  • ネットで調べると除草剤は苔に効かないとの記述が散見されること
  • 私自身が庭で除草剤を継続使用しているエリアで、苔が生えてくるのを何度も目の当たりにしていること

とはいえ、それはギンゴケのような自然発生する苔の話で、スギゴケのような大きな苔で試したことはありませんでした。
そこでまずは、”グリホサートの作用機序”について調べてみました。

グリホサートの作用機序

グリホサートの作用機序を調べてみたところ、下記のような記載がありました。

植物のシキミ酸経路を止める=芳香族アミノ酸(フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン)を作れなくして枯死させる

※シキミ酸経路 … 植物・菌類・一部細菌が 芳香族アミノ酸を合成するために必須の代謝経路

ただ、このシキミ酸経路は苔も持っているそうで、そうであれば、グリホサートは苔類にも効いてしまうはずです。

仮説:グリホサートは苔に効果はあるが、成長が遅い苔では枯れるのに時間がかかる

グリホサートの作用機序を調べて思ったことは、成長が早い植物ほど早く効果が出るのではないかということです。実際、私は芝生でも別の種類の除草剤を使用していますが、植物の成長が遅い冬に使用するより暖かくなった春に使用する方が、雑草が枯れるのが早い気がしています。

そこで今回の検証では、雑草が枯れるまでではなく、その後のスギゴケの様子も観察することとしました。

 

実証実験:スギゴケにグリホサートを散布してみた結果

使用した除草剤

サンフーロン

散布方法

50倍希釈したものをスプレーで散布

散布対象

スギゴケ

左:除草剤散布なし、右:除草剤散布あり
除草剤散布前 左:除草剤散布なし、右:除草剤散布あり
右側のみ除草剤を散布
スギゴケに除草剤を散布する様子
ゼニゴケ
除草剤散布前のゼニゴケの様子
その他の苔除草剤散布前のその他の苔の様子

検証前の状態

除草剤散布前のスギゴケの様子

散布4日後の様子

スギゴケ

除草剤散布4日後のスギゴケの様子

ゼニゴケ除草剤散布4日後のゼニゴケの様子
その他の苔除草剤散布4日後のその他の苔の様子

散布7日後の様子

スギゴケ

除草剤散布7日後のスギゴケの様子

ゼニゴケ除草剤散布7日後のゼニゴケの様子
その他の苔除草剤散布7日後のその他の苔の様子
除草剤散布から7日後には雑草は枯れ、スギゴケは残るといった期待通りの結果となりました。
この結果を受けて苔類に除草剤は効かないと判断(後日誤りと判明)し、雑草が生え放題の周辺エリアにも全体に除草剤を散布しました。
苔庭全体像

散布11日後の様子

ここで異変が発生。最初に除草剤を散布した部分のみ、スギゴケが茶色くなってきました。夏になって気温が急激に上がっているためそのダメージの可能性もありますが、写真左側は変色がないため、除草剤の影響の可能性が高いです。

除草剤散布11日後のスギゴケの様子

散布13日後の様子

明らかに写真右側、除草剤散布エリアのスギゴケの調子が悪いです。

除草剤散布13日後のスギゴケの様子

散布15日後(全体への追加散布から8日後)の様子

全体的にスギゴケの調子が落ちてきました。2度の除草剤散布を行っている写真右側は特にひどい状態です。

除草剤散布15日後のスギゴケの様子

 

結論:時間がかかるだけで、スギゴケにも除草剤の効果はあった

今回の実験の結論として、「効果が見えるのに時間がかかるものの、グリホサート系除草剤はスギゴケにも効く」ということが分かりました。

苔庭での雑草対策としてグリホサートを使用することは苔への影響が懸念されるため、避けた方が無難です。

 

まとめ:苔庭では除草剤は使わない方が良い

今回の検証では、一般的に「苔には除草剤が効かない」と言われている情報をもとに、スギゴケへグリホサート系除草剤を直接散布し、その影響を観察しました。

散布後7日までは、雑草だけが枯れ、スギゴケは緑のまま残るという理想的な結果が得られました。しかし、散布11日以降になると、除草剤を散布した部分のスギゴケだけが茶色く変色し、明らかに調子を崩すという変化が確認されました。

このことから、

  • グリホサートは苔にも作用する
  • ただし、苔は成長が遅いため、影響が表れるまで時間差がある
  • 初期の「枯れないように見える」状態は誤解を招きやすい
  • 繊細な苔(特にスギゴケ)ではダメージが蓄積しやすい可能性が高い

という結論に至りました。

つまり、苔庭でグリホサート系除草剤を使用するのは推奨できません。 短期的には問題がなく見えても、時間が経つと苔が弱り、景観を損なうリスクがあります。

苔庭の雑草対策としては、

  • 早期に小さな雑草を手で摘む
  • 苔専用除草剤(ゼニゴケ対策など)を使い分ける
  • 苔の密度を高めて雑草の侵入を防ぐ
  • 雑草が多いエリアは苔の導入前に土壌改良を行う

といった方法の方が安全で確実です。

今回の検証は、苔庭における除草剤の扱いを考えるうえで重要な示唆を与えてくれました。 苔庭を守るためには、安易な除草剤の使用は避け、苔の特性に合わせた丁寧な管理が必要だと感じています。

スポンサーリンク