世の中には、趣味で熱帯魚飼育や観葉植物を育てている方がたくさんいると思いますが、これら『熱帯魚』と『観葉植物』が一緒に語られることはそれほど多くありません。
しかし、これらを融合させると、互いに様々なメリットがあります。
今回は、アクアリウムと観葉植物を融合させた形である、『アクアポニックス』について書きたいと思います。
アクアポニックスとは何か
『アクアポニックス』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
この記事を書いている2020年4月現在では、一部の人が知っているくらいで、一般的に浸透している言葉ではありません。
アクアポニックスとは、水産養殖を意味する『Aquaculture』と、水耕栽培を意味する『Hydroponics』を掛け合わせて出来た言葉で、文字通り、魚を養殖と作物の栽培を両立させたシステムになります。
アクアリウムと観葉植物を融合させる理由
アクアリウム、特に水草水槽を楽しんでいる方は、『生物が出した排泄物をバクテリアが分解し、水草が吸収する』、といった自然の循環サイクルの一部を再現することを考えているのではないでしょうか。
私がアクアリウムを始めたきっかけも、生物が呼吸によって排出した二酸化炭素を植物が光合成で酸素に戻すというサイクルを中学の理科で習い、これを水槽で再現してみようと考えたことからでした。ですので、私が人生で初めて購入したアクアリウム関連の商品は水草、次に購入したのがヤマトヌマエビでした。
こういった自然のサイクルを水槽内で構築することは、水槽を維持管理を容易にします。
一般的なアクアリウムの場合
濾過システムのない水槽で魚を飼育していると、排泄物に含まれるアンモニアなどの有害成分がそのままの形で水槽内に蓄積し、短期間で魚の健康を害してしまいます。
これに、生物濾過システムを追加すると、バクテリアによってアンモニアが亜硝酸、硝酸とより毒性に低い物質に変換され、魚が生存できる環境を長期間維持できるようになります。
とはいっても、硝酸も無害ではありません。濃度が高くなると魚への害が出てくるので、通常は水換えをして、蓄積した硝酸を水槽外に排出してやります。一方で、水槽内に水草が豊富にある場合は、水草が養分として硝酸を利用してくれるので、硝酸濃度の上昇が緩やかになり、水換えの頻度を減らすことが出来ます。
アクアポニックスの場合
今回紹介するアクアポニックスでは、水草の代わりに観葉植物を使います。と言っても、観葉植物を水中で育てるわけではありません。
水槽の一部に陸地部分を作る、もしくは、観葉植物を植えてある容器と水槽の間で水を循環させるようにします。
これによって、観葉植物に水槽内の栄養分を吸収してもらい、水草がない水槽でも長期間きれいな水を保つことができるようになります。もちろん、観葉植物は養分を得ることが出来るので、成長が促進されます。
アクアポニックスのメリット
水草には水草のメリットがありますが、今回は観葉植物を使うメリットについてのみ書きたいと思います。
魚の種類を選ばない
水草水槽の場合、一部の例外を除いて、基本的には底床に植えられることになります。したがって、コリドラスやドジョウのような底物を飼育している水槽では、使える水草がかなり限られてしまいます。
また、一般的に水草水槽で飼育できる魚は、小型魚がメインです。中型魚以上になると泳ぐ力で水草が抜けてしまうことがあったり、遊泳スペース確保のため、水草を入れたくないという場合も増えてきます。
これに対し、アクアポニックスでは水槽内に水草を入れる必要がないので、底物やサイズの大きな魚でも導入可能です。
リン酸の吸収を期待できる
アクアリウムで発生しやすい問題としてコケがありますが、これは飼育水の富栄養化が原因です。水草はこれらの養分を吸収してくれるのですが、黒髭ゴケの原因となるリン酸に関してはそれほど吸収してくれません。その理由は、リン酸は花や実をつけるときに多く消費される成分であるため、花や実をつけない水草はリン酸をあまり必要としないためです。
一方でアクアポニックスであれば、花や実をつける植物を選んで植えることができます。「水耕栽培できる植物って限られてるのでは?」と思われるかもしれませんが、実際は、かなり多くの植物で水耕栽培が可能です。もちろん、野菜なども水耕栽培できます。
観葉植物などで水をやり過ぎて根腐れすることがありますが、それは水が動かない状態で溜まってしまい、根が酸欠を起こしてしまうことが原因です。酸素を含んだ水が循環している状態であれば、根腐れは起こりません。
アクアポニックスの作り方
以前はアクアポニックス用の水槽が販売されていなかったため、上部フィルターを改造して植物を植えるスペースを作ることが多かったです。『アクアポニックス』で検索してみると、上部フィルターを改造している画像が多く出てきます。
最近では、アクアポニックス用の水槽がいくつか販売されるようになったので、そちらを使うのがお勧めです。
お勧め商品
レグラスポニックス
私も使用しているアクアポニックス用の水槽です。30cm、30cmハイ、60cmの3サイズがあります。(画像は、コトブキ工芸ウェブサイトより引用)
brio
デザインにこだわるならこちら。インテリア性抜群です。