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熱帯魚の餌の量を考える

アクアリウムで水草水槽を作ったり熱帯魚を飼育する中で、最も多い失敗が『餌』だと思います。場合によっては、餌が原因だと分かっていない失敗もあるかもしれません。

また、水草水槽を管理する中で、餌の量は最も重要なポイントの1つでもあります。

今回は、熱帯魚に与える餌の適正量について考えてみたいと思います。

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魚の食事量ってどれくらい?

魚が生きてくためにはどれくらいの食事量が必要だと思いますか? 人間や犬、猫などと同じように考えていると、それは与えすぎです。

哺乳類は恒温動物なので、気温が変化しても自身の体温を保てるようになっています。そして、食事で得たエネルギーの大半は、この体温維持のために消費されています。

一方で魚は変温動物です。したがって、体温維持のためにエネルギーを消費することはなく、少ないエネルギーで活動できます。その代わり、水温が下がると活動が低下しますし、熱帯魚だと低温に耐えられずに死んでしまうこともあります。

かなり昔ですが、同じ体重の哺乳類と爬虫類を比べた場合、哺乳類は爬虫類の5~10倍の食事量が必要と聞いたことがあります。この数字が正しいかは分かりませんが、魚も人間の感覚からすれば、かなり少ない食事で生きていけるはずです。

では、水槽で魚を飼育する場合、どれくらいの量を与えたら良いのでしょうか?

小型魚の場合

餌の必要量は、魚の種類、大きさ、環境などによって変わってきますが、例えばネオンテトラなどの小型魚の場合、1日1回30秒くらいで食べ終わる量を与えていれば、餓死するようなことはないと思います。

私の場合、水草水槽で飼育している小型魚には、1週間に2~3回程度しか餌を与えていません。それも、20~30秒程度で食べ終わる程度の量です。

3年前に買った50gのフレークがまだ半分残ってるくらいですので、本当に少量しか与えてないことが分かると思います。それでもうちのカージナルテトラはもう3年くらい生きています。

餌の容器には、『1日数回、2~3分で食べきれる量』と書いてありますが、これは与えすぎです。

2~3分ということは、餌が水槽の底まで落ちてしまいますよね? 底に落ちた餌は、ソイルや砂利の隙間に入ってしまい、水を汚す原因になります。ベアタンクでの飼育や、コリドラスのような落ちた餌しか食べない種類でない限り、1度に与える量は、餌が底まで落ちるまでに食べきれる量に留めておいた方が良いです。

一方で、水草などが少ない水槽では、1日1回は与えておいた方が良いでしょう。

例外として、コンテスト(グッピーなど)や繁殖目的で飼育している場合は、1日数回餌を与えた方が、良い結果が出るかもしれません。

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中型~大型魚の場合

魚のサイズが大きくなると、さらに餌を与える回数を少なくしても大丈夫です。

私は、アロワナやポリプテルス、淡水エイなどを飼育したことがありますが、30cmを超えるサイズになると、数日に1回与えれば全く問題ありません。1週間空いても大丈夫です。ただ、大型魚を飼育されてる方は、魚のサイズを大きくしたいと考えていることが多いので、毎日餌を与えている場合もあると思います。

基本は少なめ

これまでに書いてきた通り、魚はかなり少ない食事量でも生きていけます。

特に水槽で飼育されている魚は、限られた活動範囲で、天敵に襲われることも天候などの影響もなく暮らしています。食べ過ぎることの方が不健康と言えるかもしれません。

餓死するほどに痩せた魚は見た目で分かります。魚の様子を日々観察し、痩せない程度に餌を与えましょう。

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怖いのは餌を与えすぎた場合

この記事の最初に、『アクアリウムでは餌で失敗することが多い』と書きましたが、そのほとんどは餌の与えすぎです。

食べ過ぎて肥満で死ぬことはないでしょうが、食べ残しや排泄物の増加により、水質が悪化して魚が死んでしまう事故が多々あります。

私のアクアリウム歴25年の中で、水槽の魚を全滅させたことが2回あります。そのうちの1回が餌の与えすぎによる水質悪化でした。

私の失敗談

私は大学生のとき、大型水槽でブラックアロワナ、淡水エイ、ガーを飼っていました。就職する際、最初は会社の寮に入ることになったのですが、大型水槽は持っていけないので、今の義理の父(当時は結婚前)に管理を任せることにしました。

その際、『大型魚は数日に一回餌を与えるだけで良い』と伝えたのですが、適正量を把握できてなかった義父は善意で餌を与えすぎ、食べ残した餌を取り除くこともしなかったため、水質が悪化、魚は全滅してしまいました。

無責任に管理を任せた私が一番悪いのですが、魚を飼ったことがない人は、魚が食べる量や、食べ残しによって水質悪化が起こることなど、全く知らないのだとその時気付かされました。

よく聞く失敗例

その他によく聞く話として、『旅行などで長期間留守にする際、出発前に餌を多めに与えておいたら、帰宅したときには全滅していた』というものです。

しばらく餌を与えられないので、多めにあげておきたいという気持ちは分かりますが、これは逆効果です。

与えすぎによる食べ残しや増加した排泄物によって水質が悪化したことが原因です。

健康な魚は、2週間くらい絶食しても、死ぬようなことはほとんどありません。餓死よりも怖いのは水質悪化です。

長期間留守にする場合も、餌を多く与えることはやめましょう。

水質を悪化させる最大の原因は餌

この記事を読んでいる方にも、もしかしたら餌を与えすぎて水質悪化を起こしている方や、そこまでいかなくても、餌の与えすぎで飼育水が富栄養化し、コケを大量発生させてしまっている方がいるかもしれません。

水質悪化の最大の原因は餌です。餌が適正量であっても、与えた分は排泄物となって必ず水を汚します。コケの発生原因となるリン酸は、餌と水質調整剤以外で水槽に供給されることはほぼありません。

餌の量を極力少なくすることが、水草水槽を管理を楽にする最も有効な方法です。

これを機に、一度、餌の量を見直してみては如何でしょうか。

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