筆者はアクアリウム歴およそ30年になりますが、この度初めてマリンアクアリウムに挑戦することとなりました。
挑戦の経緯や立ち上げの様子は、下記の記事をご覧ください。
この度、アクアリウム歴およそ30年の筆者が、初めて海水魚飼育に挑戦することになったので、その様子を紹介します。今回挑戦するのは、プロテインスキマーやサンゴ育成用の照明など特別な設備を必要としない、比較的飼育難易度の低い生体を対象とし[…]
この水槽で飼育するメインの生体は、『カクレクマノミとサンゴイソギンチャク』です。正直、カクレクマノミはどうにかなるだろうと思っていますが、イソギンチャクについてはかなり難しい印象を持っています。その理由としては、硝酸塩濃度を低い値でコントロールする必要があるためです。
飼育方法を調べてみても、『サンゴと同等の環境が必要』だとか、『プロテインスキマー必須』といったことが書かれており、海水魚飼育に比べてかなり水質に気を付ける必要がありそうです。一方で今回立ち上げた水槽は、インテリア性を重要視した一体型水槽であり、プロテインスキマーの追加が難しい、というか見た目的につけたくないと思っています。
そこで今回は、プロテインスキマーを使用せずに、イソギンチャクを飼育できるレベルで硝酸塩濃度を低く維持するため、硝酸とリン酸を除去することで長期間水換えを不要にすると謳っている、コトブキ工芸の『ドクターバイオ』の効果を検証したいと思います。
水槽にサンゴイソギンチャク導入してから1週間の様子
まず、導入後のイソギンチャクの様子から見ていただきたいと思います。
サンゴイソギンチャクの様子
イソギンチャク導入初日
水槽立ち上げの記事にも書きましたが、サンゴイソギンチャクを水槽に導入して数分後から、上の写真のようにカクレクマノミが一日中入りっぱなしという状態となりました。イソギンチャクは全開という訳ではありませんが、それなりの状態を見せていたように思います。
イソギンチャク導入2日目
カクレクマノミのモフモフ要求がずっと続いている状態です。イソギンチャクが丸くなっているときもカクレクマノミは離れようとしません。ここまではイソギンチャクの調子が悪そうということはありません。イソギンチャクがちょっとずつ移動するので、ガラス面には付いてほしくないなと思いながら見ていました。
イソギンチャク導入3日目以降
3日目くらいから、縮まっている時間が長くなってきました。縮まっているといっても、2日目のように丸くなっているわけではなく、右下の写真のような見るからに調子が悪そうな状態、口も開けています。ただ数時間後には左下のように元に戻るので、初飼育の私にはどうしていいか分かりませんでした。
この状態が数日続き、どんどん縮まっている時間が長くなっていったので、1/4ほど水換えを実施したところ、数時間後に満開の状態に戻りました。どうやら、水質の悪化が原因のようです。
水槽の硝酸塩濃度
上で書いた状態が続いていたので、急いで硝酸塩濃度を測定する試薬を購入し、測定してみました。
イソギンチャク導入6日目の硝酸塩濃度
測定した結果は下の写真の通りおよそ25ppm。ネットで検索してみると、イソギンチャクを飼育する場合、10ppm以下を推奨しているサイトが多く、25ppmは高すぎです。
イソギンチャクを水槽に導入してからまだ1週間弱、一度1/4の水換えを行っていてこの数値なので、今後水換えだけで10ppm以下を維持するのはかなり厳しそうです。かといってプロテインスキマーは使いたくない・・・
そこで考えたのが、脱窒を強化することによる硝酸塩濃度の低下です。脱窒というのは、硝酸塩を嫌気性バクテリアによって窒素に変換し、空気中に排出する作用です。どんな水槽でも若干は働いているものですが、通常硝酸塩が発生する速度の方が速いため、硝酸塩濃度が低下することはありません。ライブロックを大量に入れていて、かつ、生体が少ない場合は、脱窒が勝ることもあるようですが、私の水槽ではその状況は見込めません。
そこで今回試してみたのが、コトブキ工芸から販売されている『ドクターバイオ』です。
コトブキ工芸『ドクターバイオ』を投入
ドクターバイオとは?
『ドクターバイオ』は、硝酸とリン酸を除去し、長期間水換えなしで水質を維持できるという商品です。詳細説明はメーカーサイトを見ていただければと思いますが、簡単に言うと多孔質セラミックスでリン酸を吸着除去すると同時に、添加されている高級アルコールで嫌気性バクテリアを活性化し、脱窒による硝酸塩除去を行うというものです。※高級アルコールというのは、炭素数が多いアルコールのことです。
ドクターバイオ投入後の硝酸塩濃度の推移
イソギンチャク導入6日目(ドクターバイオ投入初日)
ドクターバイオ60を濾過槽に投入。硝酸塩濃度25ppm。
イソギンチャク導入8日目(ドクターバイオ投入2日目)
まだドクターバイオの効果は見られず。硝酸塩濃度25~50ppm。
イソギンチャクにとってはかなり厳しい数値なので、1/2の水換えを実施。水換え後の硝酸塩濃度は下の写真の通り10~25ppm。
イソギンチャク導入9日目(ドクターバイオ投入3日目)
硝酸塩濃度およそ25ppm。ドクターバイオの効果は見られず。この後水換え1/2実施。
イソギンチャク導入15日目(ドクターバイオ投入9日目)
ドクターバイオの効果(?)により硝酸塩濃度低下、0ppm。
ここにきて硝酸塩の濃度が一気に下がりました! ここ数日、イソギンチャクの開きも良かったので、硝酸塩濃度が下がってるかなとは思っていましたが、まさかのゼロでした。ドクターバイオの効果が実証されました。これによって、プロテインスキマー無しでのイソギンチャク飼育に希望が見えてきた気がします。
この後もしばらくモニタリングしましたが、硝酸塩0ppmを継続。イソギンチャクも以前のように縮まることがなくなり、元気な状態を維持しています。
硝酸塩にお困りの方、一度『ドクターバイオ』を試してみてはいかがでしょうか?