アクアリウムの水温管理

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なぜ水温管理が必要なのか

日本で熱帯魚などを飼育する場合、水温の管理が必ず必要になります。熱帯に生息する魚が日本の冬の寒さに耐えられないというのは容易に想像できますが、実は日本の夏の暑さにも耐えられないことをご存じでしょうか?

日本の特に都市部は、ガラス張りの建物が立ち並び、道路はアスファルトで舗装されているため、熱がたまりやすく溜まりやすくなっています。一方で熱帯のジャングルは、大きな川が流れており植物による水の蒸散も多いので熱が放出されやすく、川の水温もそれほど高くなりません。熱帯の自然環境より日本の夏は暑いのです。

そのため、日本でアクアリウムを楽しむためには、夏も冬も、水温に注意する必要があります。

観賞魚にとって適正な温度

さて、魚にとって適正な温度はどれくらいなのでしょうか。

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高温側の限度

当然魚の種類によって異なりますが、基本的に水温が30℃を超えると様々な危険が出てきます。32℃くらいになったからといって、魚が即死亡するということはありません。32℃くらいであれば生きていることの方が多いです。ただ、水温が高くなるほど水中の溶存酸素が少なくなるため、酸欠のリスクが高まります。勘違いしている方が多いですが、水温が高くなるほど固体が溶ける量は増加しますが、気体が溶ける量は減少します。

また、エビなどは魚より高温に弱い傾向があります。30℃を超えると危険信号と考えた方が良いです。

ちなみに、水槽の水温は気温より高くなることが多いです。ろ過フィルターのモーターと照明の熱が原因です。高温対策は早めに取り掛かるようにしましょう。

低温側の限度

極端な例でいうと、温帯の魚であれば池の表面が凍ってもその下で魚は生きているということはあります。ですので、メダカや金魚であれば、加温しなくても冬を越すことは可能です。ただ、大きな池であれば一日の温度変化はそれほどありませんが、小さな水槽の場合、昼と夜で水温が大きく変化してしまいます。これは魚に取って大きな負担となりますので、水槽での飼育の場合はヒーターで保温するか、温度変化の少ない場所に水槽を設置することをお勧めします。

熱帯魚の場合は必ずヒーターが必要です。日本の冬に耐える機能を持っていません。気温が20℃を下回る季節になったら、ヒーターを使用しましょう。

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冬場の水温管理

冬に水温が下がらないように管理するのは比較的簡単で、水槽用ヒーターを使うことで解決できます。電気エネルギーを熱に変換するというのは簡単なことなのです。

水槽用のヒーターは各メーカーから販売されておりますので、適合水量に注意して使用すれば問題ありません。ヒーターが水面から出る心配のない、ある程度水流がある場所に設置しましょう。

夏場の水温管理

一方で温度を下げるというのは比較的難しい作業になります。エアコンなどを見てもらえばわかるように、室内に冷たい空気を送るためには、室外に熱い空気を排出しなければならない、つまり熱交換を行う必要があるためです。

水槽の水温を下げるには、大きく分けて三つの方法があります。

水槽用ファンを使用する

最も安価で簡単な方法がファン(扇風機)を使用して水温を下げる方法です。なぜファンを使うと水温が下がるのでしょうか?

普通に考えて、30℃の水槽に30℃の風を当てたからといって、水槽の温度は下がりません。水温を下げるコツは、水面に対して風を当てることです。

人が扇風機を涼しく感じるのは、体温より低い温度の風が体に当たるということもありますが、汗が蒸発する際の気化熱によって周辺の熱が奪われる効果が大きいです。

水1gを1℃上昇させるのに必要な熱量は1calです。一方で、液体の水1gが気体になるときに必要な熱量は600cal/g近くになります。これはどういうことかというと、水が蒸発するのに必要な熱量は同量の水の温度が600℃上昇するのに必要な熱量と同じことになり、全体の1%の水が蒸発すると残りの水の温度が6℃下がる計算になります。

つまりファンを使って水温を下げるためには、水槽の側面から風を当ててもほとんど意味がなく、水面に風を当てることによって水の蒸発を促す必要があります。水の蒸発は水面が広いほど早くなりますので、なるべく広範囲に風が当たるようにセットすると効果が大きくなります。ただし、効果が大きい=水の蒸発量が多い ということなので、水槽の水位がその分下がってしまいます。ファンを使用する際は、こまめに給水するようにしましょう。

水槽用クーラーを使用する

もう一つの方法は、水槽用クーラーを使用することです。水槽用クーラーはファンとは異なり、水の蒸発熱などを利用せずに直接水を冷やすことができるので、水が減ることはありません。また、ファンのような成り行きの冷却ではなく、狙った温度に下げることが出来るので、冷やしすぎの心配もいりません。

デメリットとしては、家庭用エアコンと一緒で、水槽を冷やした分その排熱が発生します。家庭用エアコンは室外機により室外へ排熱できますが、水槽用クーラーは室内に排熱されるので、幾分部屋が暑くなります。また、価格が高いのもデメリットの一つです。

部屋ごと冷やす

そもそも空調の効いた涼しい部屋に水槽が設置されている場合は、さらに水温を下げる必要はありません。24時間エアコンがついているような部屋であれば、水温が30℃を超えることはないと思います。

ちなみに、水槽がたくさん設置してある部屋の場合、水槽の水温を個別に管理するより、部屋の温度を管理する方が安くなることがあります。水槽用クーラーは水槽を冷やす代わりに室内に熱を放出します。室温が高くなると水槽用クーラーの稼働時間が長くなり電気代が上がります。これが複数の水槽で行われるとかなり効率が悪くなってしまいます。このような場合は、水槽用クーラーを使わずに、部屋自体のエアコンを稼働した方が効率が良くなります。

まとめ

いかがだったでしょうか。アクアリウムにおいて、水温の管理というのは非常に重要な項目であり、失敗が多いところでもあります。特に夏休みの長期外出や冬場のヒーター故障などは、魚の命に直結します。日頃から十分注意して管理を怠らないように気を付けましょう。

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